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Home > INITIA Archives > 経営学講座 > 1. 組織論:第2章「代表的な組織論」
経営学講座 〜理論から実践まで〜


1. 組織論
第2章「代表的な組織論」

 1. イントロダクション

 世の中には非常に多種多様な組織が存在します。一般の企業を取り上げても、その中には様々な異なる性質を持つ組織があります。また私企業の組織に対して「公的組織(public organization)」という研究領域もあります。

 ただ、組織のモデルとして主張される組織のタイプは幾つかに集約されています。「組織論における人間観」では代表的な組織理論として「伝統的組織論」「人間関係論」「近代組織論」の3つを取り上げました。今回はこれら3つの組織理論も含めて、いわゆる組織論といわれる分野においてはどのような理論が構築されているのか、組織論の流れも汲みつつ、若干説明して行きましょう。

 2. 伝統的組織論

 人間観のところでも書きましたように、伝統的組織論は人間を機械のようにみなす、いわゆる「機械的人間観」にたって組織の概念を構築していますが、伝統的組織論とはいわゆる官僚制組織もしくは軍隊組織に代表されるものです。官僚制組織論は別名「組織構造論」とも呼ばれ、その名前が示すとおり、組織のもつ構造的な特徴に焦点を当てて分析する、言いかえれば、組織を構成する人間には分析の光は当てられない研究分野です。これは前提となる人間観を考えると、当然のことです。伝統的組織論は、組織論といいながらフレデリック・テーラーやアンリ・ファイヨールなどの古典的な管理方法の議論が中心です。組織構造の議論は官僚制組織論の研究に集約されているといえるでしょう。これらの伝統的組織論/古典的管理論の研究は、時期的には20世紀初頭になります。

 ファイヨールの話は「Plan-Do-See」として広く知られています。この「P・D・S」をサイクルのようにまわして管理して行くことが主張されていることから、ファイヨールを中心とした研究グループは管理過程学派と呼ばれています。また管理論の創始者と言ってもいいほどの存在であるテーラーは企業の技師だったわけですが、彼の管理論は、自動車メーカーのフォードにも採用され、生産性を飛躍的に高めたとも言われています。またチャップリンの「モダン・タイムス」によって風刺された管理方法でもあります。

 3. 人間関係論

 映画「モダンタイムス」の中では、チャップリンが機械の中で戸惑いながら仕事をしたり、右から左へと製品をひたすら流して行くような場面が見られます。読者の皆さんの中にも単調な仕事を長時間にわたって行った経験がある人もいるでしょう。警察官の中にもただ単純に交通整理をするのではなく、踊りながら交通整理をする警察官が以前ニュースになっていました。学生のバイトでパンの製造工場で夜通し単調な仕事をしていた友人もいます。もちろんこのような単調な作業が悪いというわけではありませんが、やはり人間は機械ではありませんから、誰しも単調な仕事を長時間にわたって続けることはたいへんなことです。

 このような人間を機械のように取り扱うような管理方法に批判を唱えたのが人間関係論です。この新しい組織論が展開されるきっかけとなったのは、ウェスタン・エレクトリック社(現在はあの有名なGE)のホーソン工場というところで行われた実験です。この実験をきっかけに、ハーバード大学のエルトン・メイヨーなど多数の学者の研究によって、もうすこし人間の心理的な側面を考慮した管理方法があるのではないか、という問いかけが行われるようになりました。メイヨーの著作のタイトルは“Management and Workers”というもので、このタイトルからもわかるように、管理論に「人間」という要素、もう少し具体的に言うと、人間の心理が始めて入りこんできたわけです。

 現在では、部下を管理するときに、その心理を組みとって管理することは、非常に当たり前のことです。本屋に行くと「組織心理学」など、心理学と結びついた組織論の本が多数出版されていますが、それらの起源となったのは、約80年前の実験を契機として展開されるようになった人間関係論です。上述したように人間関係論は人間の心理的な側面を中心に分析していきます。そのためミクロ組織論と呼ばれることもあります。

 4. 近代組織論

 近代組織論の代表的な論者としては、バーナードとサイモンが挙げられます。組織論におけるバーナードの貢献は非常に大きいといわれています。というのは1930年代に出版された彼の著作である「経営者の役割」のなかで(公式)組織を適切に定義し、現在でもその定義が一つのスタンダードになっているからです。彼は本のタイトルからも類推できますように、会社の社長をやっていました。自らの仕事を深く考えていると、「経営者の役割とはいったい何か?」という疑問に直面したわけです。そのためには自分が経営をしている組織とはどのようなものなのかということから分析をしなければならない、そのために組織というものを定義することから始めたのです。

 彼は組織を協働という概念で説明しています。これは毛利元就の「三本の矢」の話に近いものです。人間には肉体的・能力的にどうしても制約があり、そのために目的を達成できない可能性がある。しかし何人かの人が集まって、持っている力を合わせてお互いに補いあえば、目的を果たすことができるかもしれない。そのような人間の集まり、つまり協働するということが組織が成立することにつながると考えたわけです。「1本の矢では簡単に折れるが、3本集まるとなかなか折れない」という話とどこか似ている感があります。

 上記の話から、バーナードが機械的な人間観とは違う人間観を持っているということがよくわかるでしょう。自らの意志に基づいて行動するという人間を想定しているのです。ある制約のもとで、自分の持っている目的を達成するためには、何をどのようにすればいいのか、そのような意思決定ができる人間像をもって組織理論を構築しています。

 サイモンも、バーナードと同じ人間観を持って組織の理論を展開しています。ただバーナードは組織を構成する個人の人格というものを認める一方、組織の人格という概念も作り出しています。

 たとえば、組織の命令として法律に反するような行動をとることを要求されたとき、あなたならどうしますか? その命令に従いますか、それとも自分の倫理基準にしたがってそのような命令を拒否しますか。しかし組織の命令を拒否することは自分の将来のキャリアに傷をつけることになりかねないので、やはり法律に違反するかもしれないけれども、組織の命令にしたがうという決定をするかもしれません。組織人格と個人人格とのせめぎあいです。

 サイモンは、その著作の中で組織人格が優先されるべきだと主張しています。それは組織の意思決定が優先されるべきだと考えているからです。個人の意思決定がある意味では軽視されているということから、サイモンの人間観は古典的管理論に近いのではないかと言う批判もしばしば行われます。

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